技術と魚

雑感と備忘録

エンジニアに向いているって何だろう

子供の頃、「無人島」に対して恐ろしい印象を持っていた。僕がなにか悪さをして、親が怒るついでに、「お前、今度無人島に放ってやるからな」と冗談を言ったりしてきたからだ。 でも、小学校の学年が上がるにつれ、「仮に自分が無人島に1人放たれた場合」という仮定で、「どのようにして生き延びるべきか?」ということを考えるのが徐々に好きになった。 他にも、電車に乗っている時、「この電車が仮に脱線した場合」「どういう体勢をとれば怪我が最小化できるか?」ということをよく考えた。

無人島でもしも1人になった場合、まずは水の確保から。次に食料をどのようにして獲得するか? そこさえクリアできれば、当面生き延びることが出来る。 水は何から得られるか?植物?それとも海水から何らかの方法で水蒸気を得るか? 火が起こせるならば暖も取れるし、食料を調理もできて一石二鳥だから、早めに手を付けたほうが良い。では何で火を付けられるか? 必要ならば洞窟のような場所を探して、雨風を避けられると効率的だ。洞窟でなくても、木や葉を上手く使えば作れるかも? 木を切るにはどうするか?いくつかの種類の木は削りやすいかもしれない。角のある石は削るのに使えるか? 漂流物を探せばもしかしたら手っ取り早く資源が集まる可能性があるかも?

エンジニアリングに必要な思考って、実際にはこんな思考を巡らせて、解決の糸口を地道に探すことだと思う。 必ずしも、仕事で必須ではない。仕事では、火起こしの専門家であってもいい。しかも、私は材料がもらえる環境でしか動けないと宣言したって問題ない。環境を選べば良いだけ。それに、常にここまでピュアな思考をあえてしなくても多くの課題は解決できるし、お金は貰える。

ただ、こういうピュアな思考で夢中になれるかどうか?は経験からいっても、小学生ぐらいの頃には決まっていたように思う。明らかに機械に興味がある人、ない人は区別できた。何かの問題にすぐ解決策を言える人、言えない人。モノの仕組みをワクワクしながら説明できるひと、興味が全くない人。

社会人になり、仕事で必須でないとは言いつつも、こういう問題解決の思考に対するピュアな関心が、どこかその人の内面に刻まれていて、感覚に宿っている時にだけ、その人はエンジニアとして強く伸びて、生き生きと仕事をしているんじゃないか、と思う。(お金が貰えてないとか、ハードすぎるとかはさておき。)